【対応表】研究デザインの選定方法【理学療法】

研究

Introduction

  • 研究をしたいけど、研究デザインがわからない。
  • 自分の研究テーマを解決するのに適したデザインって?
  • 研究デザインのメリットデメリットってなに?
 この記事ではそんな疑問に答えます。
本記事の内容
研究テーマから研究デザインの選定(対応表あり)
理学療法研究デザインのまとめ(メリット・デメリット)
 研究を実施する前に必要になるのは研究計画です。そしてこの研究計画の基礎になるものが研究デザインです。そこで今回は「研究デザインの選定」に関する記事を書いていきます。

研究テーマから研究デザインの選定(対応表あり)

 研究疑問と適した研究デザインの対応表を示します。

記述的研究

症例報告

横断研究コホート研究ケース・コントロール研究

介入研究

対象者の病態・経過を述べたい

疾患の要因と
アウトカムとの関連を調べたい

治療・予防法の効果を調べたい

自分の研究疑問に適した研究デザインがわかると思います。しかし、複数の○がある項目もありどれがいいのか悩みますよね。次に各デザインのメリット・デメリットを次で説明します。

理学療法研究デザインのまとめ(メリット・デメリット)

症例報告

 まず、対象者の病態や経過の報告には症例報告( case study)や複数症例を集めた( case sries study)などがあります。
統計学的な比較・検討が不要
すでにカルテ情報があることが多いため、比較的短時間で実施可能
他の報告や対照との結果の比較ができない
因果関係の証明・治療の効果確認はできない

コホート研究

 次に、疾患の要因とアウトカムとの関連を調べるのに最も適したデザインはコホート研究になります。コホート研究では観察期間の前後に評価を2回行うため、因果関係が証明できます。
因果関係が証明できる
交絡因子の測定ができる
多くの対象者と観察期間が必要
これらに伴ってな費用がかかる
対象者の脱落が生じやすい

横断研究

 2回の評価を行う時間・費用が書けれない場合は、1度の評価で要因になりうる因子とアウトカムと考えられる因子を評価する横断研究を実施します。
コホート研究と比較して、時間・費用的な制約が少ない
因果関係は証明できない

ケースコントロール研究

 また、アウトカムが発生した対象者(ケース)(例:合併症の発症など)を集め、発生しなかった対象者(コントロール)との要因を比較するケースコントロール研究も選択肢の一つです。
コホート研究と比較して、時間・費用的な制約が少ない
交絡因子の除去ができない
選択バイアスが生じやすい

介入研究

 最後に治療・予防の効果を調べるのに最も適した方法は介入研究になります。この介入研究には介入の割付によって3つに分類できます。

ランダム化比較試験

 介入の割付方法として最も強力なものはランダム化比較試験です。この方法は介入する群と対照群とをランダムに振り分けます。
ぶっちゃけ最強
研究者の意図が結果に影響を与えない
交絡因子が除去できる
倫理的に介入群と対照群を分けることが困難な場合がある
手間がかかる

非ランダム化比較試験

 ランダム化を行うことが難しい場合には非ランダム化比較試験を実施することもあります。
ランダム化比較試験より簡便に実施できる
研究者の意図が除去できない
交絡因子の除去ができない
倫理的に介入群と対照群を分けることが困難な場合がある

前後比較試験

 介入の割付そのものが難しい場合には、対照群を設定しない前後比較試験を実施します。
少ない対象者で実施可能
比較試験より簡便
研究者の意図が除去できない
交絡因子の除去ができない
介入の効果と時間の経過による改善かが判断できない
 そのほかにも同一集団に時期を分けて介入と観察を行うクロスオーバー試験があります。
 研究者としての理想はランダム化比較試験ですが、自分の所属施設によっても実施できる研究デザインは変わってきます。また、臨床業務の合間に実施するにはこのデザインは負担が大きすぎる一面もあります。
 個人的には臨床業務についている理学療法士に適した研究デザインは一人一人の診療記録を丁寧に積み上げたCase sries studyやコホート研究だと思います。新しい介入方法の作成や背伸びしたランダム化比較試験などはなかなか実施することは困難な現状があります。
 日々の臨床疑問に答えるために診療記録を丁寧に積み上げることは、自分を見つめ直す良い機会になるはずです。

Conclusion

 今回は「研究デザインの選定」に関して記事を書いてみました。本記事があなたの研究デザインの選定に役立てば嬉しく思います。
自分で実施可能な研究デザインを背伸びせず設定する。

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