理学療法士は臨床研究をするべきか?

研究

なんで研究しないといけないのか
自分にとって研究ってしたほうがいいのか

こんな疑問に答えます。

この記事を読むと、

なぜ研究をするのか
自分は研究をしたほうがいいのか

にこたえます。

僕は働きながら研究を続けて10年以上経ち、論文も出し続けてきました。職場では後輩たち学会発表・論文作成の指導もしています。そんな僕が理学療法士は臨床研究をしたほうがいいのか、についてまとめてみました。

なぜ理学療法士が臨床研究をするのか

「医療従事者は、臨床研究を実施して、公表する必要がある」

VS

「臨床に携わるものは、自分の担当患者の治療に専念すべきで、研究は無駄だ」

どちらも聞いたことのある意見ですよね。
僕の勤めている職場にも両方の意見の人がいて、僕の感覚的には

研究はやるべき派:10%
研究はムダ派:30%
研究は大事だけど自分はちょっといいかな派:60%

ぐらいだと思います。各施設にによってもう少し割合は変わると思います。

僕個人としては、研究はやるべきと考えています。特に、臨床業務に従事する人こそやるべきと考えています。

その理由は、患者さんのため、人のため、自分のためになるからです。

患者さんのため

臨床研究は、基本的に患者さんのために行われるものです。研究の成果をすぐに還元できるのは臨床業務につく医療職の特権です。
研究結果以外にも、研究を実施する過程で身に付く、

深い知識
論理的思考

目の前の患者さんに対して、必ずメリットがあるものだと思います。

さらに目の前の患者さんだけではなく、ほかの場所にいる患者さんの治療に役立ちます。
これは公表された研究結果をもとにほかの理学療法士が介入方針の参考にすることで自分が担当ではない患者さんの治療に役立つことが出来ます。加えて、出版された論文は将来にわたり閲覧が可能になります。そのため、今は発症していない未来の患者さんの治療にも役立つことが出来ます。

人のため

臨床研究は問題や疑問を解決するために行われます。
その問題に直面しているのは、臨床現場にいる理学療法士であることが基本です。
自分が疑問に思ったことはほかの理学療法士もきっと悩んでいるはずです。研究結果が公表されれば、臨床判断に悩む理学療法士を助けることができます。

「経験上これはいいから」ではなく、エビデンスに基づいて介入方針を決めることは専門職としての責任を果たすことにもつながります。

また、研究は1人だけで取り組むことよりも、何人かで取り組むことも多いと思います。
例えば、術後の症例を対象にするなら、それぞれの担当に評価を依頼しなければなりません。先ほどの約60%の「研究は大事だけど自分はちょっといいかな派」をうまく取り込んで実行して行きます。

みんなで取り組んだ結果が論文などの形になるとモチベーションが上がり、その過程で部署の協調性が養われます

自分のため

自己研鑽のために研究をする、という目的もあります。
研究の過程で身に付ける、知識と論理的思考力は臨床業務に必ず役立ちます。むしろこれを身につけるために研究を実施するべきです。

また、キャリアアップのために大学院に入学すると研究はノルマとして課されます。
学位取得はほかの人と差をつけるために考える人も多いですし、個人的には理学療法士も大学院でどんどん学ぶべきだと思います。

臨床研究自体は大学院に入学しなくてもできますが、入学すると、

学位を取得できる
相談相手ができる(指導教官・大学院の同期など)
期間が定められる(修士:2年 博士:3もしくは4年)

といったメリットがあります。

学位や相談相手はよく聞くメリットですが、僕は期間が定められることもメリットの一つだと思います。

僕もそうですが、締め切りのない仕事と締め切りのある仕事であれば、前者を優先しがちです。期間が定められることで、メリハリができ、目標を立てやすくなります。

他にも、研究を行う過程で「企画力」も身につけることができます。
これは自分の発想を立案・計画して、承認を得て、実行し、解析を加えて公表するといった一連の流れです。普段の臨床業務値は違う、自分が主体的に立案と実行を行う経験を積むことが出来ます。

また英語力の獲得もおまけでついてきます。先行論文を読み込めばリーディング、自分で書けばライティング、国際学会に参加すればリスニングとスピーキング。僕もまだまだだけど、この能力は理学療法以外にも役立つ能力だと思います。

自分は臨床研究をしたほうがいいのか

結論を言えば、上にあげた研究をやるべき理由に1つでも共感できる点があれば、したほうがいいと思います。
まず患者さんのためになる、人の役に立てる、自己研鑽になる、メリットばかりに見えます。

でも、実際はそれなりに大変です。自分の時間・お金をやりくりしなければなりません。最悪なのは、自分の時間やお金を費やした上に、嫌な思いをした挙句に諦めることです。もし、あなたがはっきりと「自分の人生で研究をすることは無駄だ」と言い切って、今後一生その意思を貫けるなら、研究なんてしなくていいと思います。

ただ、研究はあまりやりたくないけど、やらないと次のステップに進めない場合

例えば、
職場から学会発表の指示が出ている
学位を持っていないと役職につけない
など

こうした次のステップアップにつながる場合も、研究は無駄にはならないと思います。

研究する理由は人それぞれだと思います。患者さんのため、人のため、自分のため、どれも正解はないです。自分の時間をどんな風に使いたいか、自分にとって無駄ではないと思えばやるべきです。

Conclusion

今回はなぜ研究をするのかについて記事を書きました。

研究は自分の知識・経験を人の役に立てることができます。研究を通して自己研鑽もできますが、その分時間も労力もかかります。

僕はこれまで働きながら研究を続けてきました。自分でやりながらいろいろ大変なこともあったけど、全体的にみたら、続けていて良かったと思っています。もしなぜ研究をするのか悩んでいる人は参考にしてみてください。

この記事があなたの研究や臨床に役立てばうれしく思います。

無駄ではないと感じたらやるべき→きっと、できます。

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