コクランライブラリーでエビデンス検索【理学療法研究】

ツール・ガジェット

コクランライブラリーって何?
どうやって使ったらいいの?

こんな疑問に答えます。

 

この記事を読むと

コクランライブラリーとは何か
コクランライブラリーでのエビデンス検索方法

がわかります。

 

コクランライブラリーって理学療法学会でエビデンス検索ツールとして紹介されてますよね。でもまだ使ったことのない人も多いと思います。
今回はこのコクランライブラリーの使い方について説明します。

コクランライブラリーとは、システマティックレビューのデータベース

コクランライブラリーは、非営利団体であるコクランが作成している、システマティックレビュー(コクランレビュー)のデータベースになります。

一部の抄録は日本語訳されれているものもあり、大まかな概要だけであれば比較的簡単に把握することができます。

本文の購読には契約が必要ですが、コクランレビューから得られる情報は医療者の意思決定のサポートをしてくれます。大学や病院が施設契約していることもあるので確認して見てください。施設契約のない人も本文が無料で開示されているものもあるので、興味のある分野は一度検索してみることをオススメします。

コクランライブラリの収録コンテンツは

Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR)
→コクランレビューのデータベース
Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)
臨床試験のデータベース
Cochrane Clinical Answers(CCAs)
→よくある臨床疑問に対する回答
Systematic Reviews from Epistemonikos
→コクランレビュー以外のシステマティックレビューのデータベース
Special Collections
→特定の話題についてのコクランレビューをまとめた特集記事
Editorials
→特定の話題に関する総説的な記事

になります。

Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR)

コクランレビューのデータベースになります。手術や運動療法などの介入効果を判断するため情報が公開されています。
「妊娠中の女性のにおける背部痛に効果のある理学療法介入は何か」といった明確な臨床疑問を設定し、過去の文献を統合して結論を出します。ほとんどの論文は複数のRCTのメタアナリスであるため、エビデンスレベルの高いものです。

コクランレビューにはAbstract(抄録)とPlain language summary(平易な言葉の要約)があります。

Abstract
構造化抄録のこと。選定基準や解析方法、結果といった決まった項目に従って書かれた文章になります。論文など読む人はこちらの方が端的に内容が把握できるようになっています。
Plain language summary
どちらかといえば一般の人向けに専門用語を用いずに書かれた文章になります。

Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)

システマティックレビューの元となる、臨床試験(主にRCT)のデータベースになります。RCTのデータが閲覧できますが、本文が含まれないため、PubMedに移動する必要があります。

いい文献を見つけたとしても、PubMedに行かないといけないので僕はあまり使いません。
しかし、システマティックレビューをやるときは文献調査に必須のデータベースになります。

Cochrane Clinical Answers (CCAs)

コクランレビューの結果を専任のエディターが編集したもの。
しかし、施設契約がないと閲覧することができません。

Systematic Reviews from Epistemonikos(Epistemonikos)

コクランレビュー以外のシステマティックレビューを網羅的に検索できる文献データベースになります。こちらも文献の本文は含まれないため、本文が読みたいときはPubMedに移動する必要があります。

Special Collections

特定の話題についてのコクランレビューをまとめた特集記事

Editorials

特定の話題に関する総説的な記事

コクランライブラリーのメリット・デメリット

メリット
質の高いシステマティックレビューが検索できる
臨床試験(特にRCT)に特化
一部は無料で本文が読める
一部は日本語で抄録が読める(全体の20%ぐらい)

デメリット

本文を読むには年間購読契約が必要(大学・病院が契約していれば読める)
臨床試験以外(病因・診断検査・測定・予後(リスク)因子・臨床予測ルール・アウトカム)のレビューはほぼない

コクランライブラリーでのエビデンス検索方法

今回はコクランレビューの検索に絞って、Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR)の使い方を紹介していきます。
コクランライブラリーのホームページにいきます。

左上の検索ボックスの上のEnglishを日本語に変換します。左側を変更すると文献の表示言語、右側はWebサイトの言語設定になります。Webサイトは日本語対応していないので、文献の表示設定だけ日本語にします。
もちろん英語で問題ない人はそのままでOK。

それができたら、検索ボックスに調べたいキーワードを入力します。

注意!キーワードは英単語で入力する必要があります。

>>調べたい単語の英語表現がわからないとき、オススメの翻訳ツール紹介はこちら

基本的な検索はこれでOKです。

もう少し絞り込んだ検索をしたい場合は検索ボックスの下の「Browse」をクリックします。
するとトピックが表示されるので選択します。

トピックの内容はこちら

a
Allergy & intolerance :アレルギーと不耐性
b
Blood disorders :血液疾患
c
Cancer :癌
Child health :子どもの健康
Complementary & alternative medicine :補完・代替医療
Consumer & communication strategies :消費者とコミュニケーション戦略
d
Dentistry & oral health :歯科・口腔保健
Developmental, psychosocial & learning problems :発達、心理社会的・学習障害
Diagnosis :診断
e
Ear, nose & throat :耳・鼻・喉
Effective practice & health systems :効果的な練習と健康増進システム
Endocrine & metabolic :内分泌・代謝
Eyes & vision :目と視覚
g
Gastroenterology & hepatology :消化器内科・肝臓内科
Genetic disorders :遺伝性疾患
Gynaecology :婦人科
h
Health & safety at work :職場の安全衛生
Health professional education :保健教育
Heart & circulation :心臓と循環
i
Infectious disease :感染症
Insurance medicine :保険医療
k
Kidney disease :腎臓病
l
Lungs & airways :肺と気道
m
Mental health :メンタルヘルス
Methodology :方法論
n
Neonatal care :新生児ケア
Neurology :神経学
o
Orthopaedics & trauma :整形外科・外傷
p
Pain & anaesthesia :痛みと麻酔
Pregnancy & childbirth :妊娠・出産
Public health :公衆衛生
r
Reproductive & sexual health :リプロダクティブ&セクシャルヘルス
Rheumatology :リウマチ
s
Skin disorders :皮膚疾患
t
Tobacco, drugs & alcohol :タバコ、ドラッグ、アルコール
u
Urology :泌尿器科
w
Wounds :傷口

トピックを選択すると該当する論文の一覧が表示されます。


この際、左側の公開日、ステータス、言語、臨床疑問の種類、詳細トピックを選択することでさらに絞り込むことができます。

表示されたタイトルをクリックすると内容が表示されます。

タイトルの横に「View PDF」が表示されていれば、文献のPDFを開いて本文を全て読むことができます。

アブストラクトは構造化抄録の形式で英語表記されていますが、さらに下に行くと、日本語抄録ができてきます。(日本語対応のレビューのみ)

>>コクランライブラリーのホームページはこちら

Conclusion

今回は、コクランライブラリーの使い方を紹介しました。

EBMでは、もっともエビデンスレベルが高いものが複数のRCTによるシステマティックレビューで、コクランレビューはその中心となる存在です。
臨床でどんな根拠に基づいてどんな判断を下すかで結果も変わってきます。コクランレビューを用いて根拠のある臨床判断をして見て下さい。この記事があなたの研究や臨床に役立てばうれしく思います。

研究者が質の高い論文をまとめる→臨床家の臨床判断をサポート

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