- 新しい知見がまだ英語論文にしかなさそう、情報収集できる範囲を広げたい…
- 英語論文が読めなくて、いくつか翻訳サイトを使ったけど日本語がめちゃくちゃ
- 効率的に英語論文を読みたいから、DeepL翻訳を使った読み方を教えて!
英語論文を読むのって時間がかかって、臨床業務の合間や終わった後に集中して読むのは大変ですよね。でも後回しにしていると上司から「そろそろあの文献読んだ?」なんて聞かれて焦ったり。
私も社会人大学院生として毎年のように英語論文を執筆していますが、英語が苦手なのでDeepL翻訳にはお世話になっています。
そこでこの記事では無料版DeepL翻訳を使った英語論文の読み方を解説していきます。さらにデスクトップアプリの使い方から、PDFからコピペするときに改行を消去してくれるShaperも合わせて紹介します。
DeepL翻訳のメリットは、英語論文を読むのにかかる時間の圧倒的な短縮。時短できた分は、他の論文を読む・論文を執筆する・家族と過ごすなどに使うことができます。
私もDeepL翻訳を使い始めてから、1日に読める英語論文の数が増え作業効率をあげることが出来ました。
作業効率の向上は社会人大学院生だけでなく多くの人に大切なことです。DeepL翻訳とShaperは両方無料で使うことができるため、ぜひこの機会に利用してみて下さい。
DeepL翻訳は人工知能(AI)システムによる翻訳ツール
DeepL翻訳はドイツのDeepL社が2017年にリリースしたディープラーニングをベースにしたAIシステム翻訳ツールで、2020年3月から日本語にも対応しました。
この翻訳サイトの何がすごいかというと、その翻訳の自然さ。医学系の英語論文って単語が特殊だったり、論文の書き方に特有のルールがあったりするじゃないですか。これまでの翻訳ツールだととりあえず訳文が出てきたはいいけど、違和感がスゴぎて頭に入らないとかあったと思います。
それを解決してくれたのがDeepL翻訳。もちろんまだまだ完璧な日本語ではないですが、今までの翻訳ソフトと比べるとかなり自然です。
無料版DeepL翻訳では5000文字まで一度に可能
DeepL翻訳には無料版と有料版(DeepL PRO)があります。有料版は月額750円から5000円まで。有料版であれば文字数制限なしや Wordファイルをそのまま翻訳してくれたりといった機能がつきますが、普通の使用であれば無料版で十分です。
私は無料版を使用しており、今のところ有料版にアップグレードする予定はありません。無料版であっても5000文字まではまとめて翻訳できるため十分です。
論文まるごとはできなくても、結果や考察の各章ごとに翻訳するには5000文字あれば問題なし。1日の回数制限もないため、分割すれば何文字でも翻訳できます。
無料版ではPDF・wordファイルごとの翻訳・編集は一部制限されています。
具体的にはPDFをドラッグ&ドロップするだけで翻訳することはできません。またwordファイルは翻訳だけは可能ですが、編集することができません。
しかし、文章をコピペして貼り付ければ上記の5000文字まで一度に翻訳できるためこれも大きな問題ではありません。
無料版DeepL翻訳の使い方
プラウザ上での使い方はコピペだけで超カンタン
プラウザ上で使う場合は画面左側のボックスに訳したい英文をコピペするだけ。自動判別してくれるため言語の選択も入りません。
デスクトップアプリの使い方は「Ctrl+Cを2回押し」
パソコンにデスクトップアプリ版 DeepL翻訳をダウンロードすると1クリックでDeepLが起動してくれます。
さらにショートカットを設定しておくと訳したい文を選択して、「Ctrl+Cを2回押し」するだけで自動でDeepLにコピぺと翻訳がされます。
これがすさまじく便利。わからない部分が出てきたらすぐ翻訳できて集中が途切れることなく次に進めます。
論文以外にもメールやwordの文章でも翻訳してくれます。
英語が読めなくても大丈夫|DeepL翻訳を使った英語論文の読み方
DeepL翻訳で英語論文を読む手順
翻訳したい論文を文献サイトからコピペしてDeepL翻訳に投入します。無料版だと5000文字制限のため本文丸々のコピペは難しいですが、序章、方法、結果、考察のそれぞれに分割して入れれば問題ありません。
Shaperを使ってPDFからコピペ時の余分な改行を消去
文献サイトで本文全部が公開されているとコピペすることが可能ですが、PDFで所持している論文などをコピペすると改行が入ってしまって文章が途切れてしまうことがあります。そのまま翻訳すると不自然に途切れた訳文が出てきてしまいます。
そんなときの解決方法をご紹介します。
ShaperはPDFなどからコピペしたときの改行を取り除いてくれるサイトです。
使い方はこれも超カンタン。
上段ボックスにコピぺした英文を貼り付けるだけ。すぐに改行が消された英文が下段ボックスに出てきます。
さらに「DeepLで翻訳する」ボタンを押すと、そのままDeepLで翻訳してくれます。
本当にワンクリックで完結。
Google翻訳とDeepL翻訳の比較
ここではGoogle翻訳とDeepL翻訳の翻訳結果を比較してみたいと思います。
説明するより見てもらう方がわかりやすいので、試しに理学療法関連の英語論文の序章を翻訳して見たいと思います。比較対象としてGoogle翻訳でも翻訳して見ました。
原文
例に使う英文はこちら。PubMedから見つけてきました。
Barfod KW et al. Orthop J Sports Med. 2020 Apr 28;8(4):2325967120915909.
BACKGROUND: Immobilization of the ankle joint has been suggested as a key element in the pathogenesis leading to deep vein thrombosis (DVT). PURPOSE: To investigate whether early controlled ankle motion (ECM) could reduce the incidence of DVT compared with immobilization (IM) in the treatment of acute Achilles tendon rupture. STUDY DESIGN: Randomized controlled trial; level of evidence, 2. METHODS: Patients aged 18 to 70 years were eligible for inclusion, and treatment was nonoperative. The ECM group performed movements of the ankle 5 times a day from weeks 3 to 8 after rupture. The control group was immobilized for 8 weeks. The outcome measure was DVT diagnosed with color doppler ultrasound for above- and below-knee DVT at 2 and 8 weeks. The Achilles Tendon Total Rupture Score, the heel-rise work test, and the Copenhagen Achilles ultrasonograxphic length measurement were performed at 4-, 6-, and 12-month follow-up.
翻訳サイトの王道|Google翻訳での翻訳結果
急性アキレス腱断裂後の深部静脈血栓症のリスク:足首の早期制御運動と固定化を比較したランダム化比較試験の二次分析
背景:足首関節の固定化は、深部静脈血栓症(DVT)につながる病因の重要な要素として示唆されています。
目的:急性アキレス腱断裂の治療において、早期制御足首運動(ECM)が固定化(IM)と比較してDVTの発生率を低下させることができるかどうかを調査すること。
研究デザイン:ランダム化比較試験;エビデンスのレベル、2。
方法:18~70歳の患者は含める資格があり、治療は非手術的でした。 ECMグループは、破裂後3週から8週まで、1日5回足首の動きを行いました。対照群は8週間固定化された。結果の尺度は、2週間および8週間で膝上および膝下DVTのカラードップラー超音波で診断されたDVTでした。アキレス腱総破裂スコア、踵上昇作業テスト、およびコペンハーゲンアキレス超音波長の測定は、4か月、6か月、および12か月のフォローアップで実行されました。
DeepL翻訳での翻訳結果
急性アキレス腱断裂後の深部静脈血栓症のリスク:足首の早期制御運動と固定化を比較した無作為化比較試験の二次解析
背景:足関節の固定化は、深部静脈血栓症(DVT)につながる病態の重要な要素であることが示唆されている。
目的:急性アキレス腱断裂の治療において、早期に足関節運動(ECM)をコントロールすることで、固定化(IM)に比べてDVTの発生率が低下するかどうかを調べる。研究デザイン:無作為化比較試験、エビデンスレベル、2。
方法:18歳から70歳までの患者が対象であり、治療は非手術的であった。ECM群は破断後3週目から8週目まで1日5回足首の運動を行った。対照群は8週間固定した。アウトカム指標は、2週目と8週目の膝上・膝下DVTをカラードップラー超音波で診断したDVTとした。4、6、12ヵ月後のフォローアップ時にアキレス腱全断裂スコア、ヒールライズワークテスト、コペンハーゲンアキレス超音波長測定を実施した。
いかがでしょうか?
結構自然に訳せているんじゃなかな、と感じます。特に方法の部分の訳し方が上手ですよね。英語論文のルールとして方法の部分は受動態で書くというルールがあるのですが、うまく日本語に変換してあまり違和感のない訳文に仕上がっています。
もちろん完璧な翻訳ではないですが、自分で読む分にはこれで十分。ここまで訳してくれるだけで読むスピードが格段に上がります。
まとめ
英語論文を読む際に役立つDeepL翻訳の使い方を紹介しました。本当に便利なツールです。
「辞書を使って自分で翻訳すべき」という意見もわかりますが、臨床業務が終わった後にそれはなかなか辛いですよね。
研究には膨大な量の論文を読む必要があります。また、日々変化する対象者に常に最新の知見に基づいた理学療法を提供するために素早く知識を吸収することは決して悪いことではないはずです。何より英語になれることができます。
この記事のまとめ
- DeepL翻訳は無料版でも一度に5000文字まで翻訳可能
- Shaperを使って改行を取り除いてワンクリックでDeepL翻訳へ
- デスクトップ版なら「Ctrl+Cを2回押し」で素早く翻訳可能
DeepL翻訳は自動学習するAIなので日本中の理学療法士が使えば使うほど理学療法分野の翻訳にも強くなっていってくれます。みんなでどしどし使いましょう。
今回は理学療法の英語文献を読むための翻訳サイトを紹介しました。この記事があなたの研究・臨床のお役に立てれば嬉しく思います。
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