Introduction
羊土社から出版されている、相沢先生のクリニカルリーズニングで運動器の理学療法に強くなる!を紹介します。名前の通りクリニカルリーズニングで理学療法を提供する際の意志決定プロセスを解説してくれています。
なぜこの本を紹介しようと思ったかというと、後輩たちに1番貸して下さいと言われる本の一冊だから。
僕が読む前に自分の症例検討のために持って行った後輩もいます。そのまま後輩間を回り、最終的に実習生に回って、その学生の実習終了時に戻ってきたことを覚えています。
著者について
この本は疾患別整形外科理学療法ベストガイド 下肢編なども編集している相沢純也先生が監修しています。僕が初めて相沢先生の講演を聞いたのはスポーツ系の講演会のときだったと思います。理論から実践までずっと集中して聞く事ができたのを覚えています。
ざっくりとした内容
この本はクリニカルリーズニングを解説する第1章と、クリニカルリーズニングの実際の第2章で構成されています。
面白いの全238ページ中、第1章は22ページまでで終わり、残りの200ページ以上はクリニカルリーズニングの実際を示す第2章が占めている点です。11の疾患でよく遭遇する症状を提示し、いかに実践で仮説を絞り込んでいくかが重視されているかがわかると思います。
一症状あたり20ページ前後をつぎ込んで思考プロセスを紹介するって相当丁寧ですよね。
内容は実習生や新人〜3年目あたりに向けて書かれているように感じます。しかし、新人指導をする立場であっても、質問に対する答えをなかなか言語化する事ができないこともあると思います。この本は後に紹介する表やチャートで思考を見える化してくれるので、学生や後輩への説明に助かります。
オススメの章・ページ
オススメはやはり第2章です。思考プロセスがフローチャートで見える化されているので文章で示されるより、圧倒的に理解しやすいです。
特に新人の間は自分の思考プロセスを他人に伝える事が難しかったり、現象と現象に複数の関わりがある事に気付かない事も多いと思います。
そんな時はその後輩と本を見ながら「こんな感じで整理してみて」と伝えると本人の思考の整理にもなりますし、指導する立場の人もどこでエラーが生じているかわかりやすくなるので重宝しています。
Conclusion
最近は理学療法学会の症例報告では抄録にリーズニングの項目が作られるなどエビデンスと並んで僕ら理学療法士の意思決定をサポートしてくれるツールになってきました。
僕も後輩を指導する年数になっていますが、後輩と一緒に読むたびに気付きを与えてくれるこの本はとてもありがたいです。
書籍ではなく、動画形式で筋・骨格系のクリニカルリーズニングを学びたい人はリハノメの荒川先生の講義「筋・骨格系の解剖学の再考・再学習」もおすすめです。解剖学的理解に基づいて病態はあくのクリニカルリーズニングが学べます。
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