倫理委員会でチェックされること

研究

Introduction

「研究計画書を作成したら次は何をすればいいの?」「倫理委員会への申請ってどうやればいいのだろう」こんなお悩みをお持ちではありませんか?臨床研究を実施する前には、必ず倫理委員会の許可を得なければなりません。

しかし、倫理委員会というのは、初めて臨床研究する人にとっては少し怖いイメージがありますし、ハードルも高いですよね。そこで当記事では、倫理委員会への申請方法を詳しく解説していきます。倫理委員会をクリアして初めて、臨床研究のスタートラインに立てます。

この記事を読み終えるころには倫理委員会への申請方法がばっちり理解できているはずです。ぜひ最後までご覧ください。

倫理審査申請者側の準備

倫理委員会に申請を行う研究代表者は、事前にさまざまな準備をしておかなければなりません。まず、不備のない研究計画書の作成です。研究計画書がしっかりできていないと受付できない場合もあるので、気をつけましょう。

また、倫理講習を受講していることも最低限必要な条件になります。研究倫理の教育はe-learningとしていくつかの機関で受けられるので、必ず受講しておきましょう。代表的なものとしてはCITI Japan・ICR臨床研究入門・UMIN e-learningサイトなどがあります。

なお、事前の準備としては、自分の研究をしっかり説明できるプレゼンの準備をしているといいでしょう。倫理委員会では申請者が出席して質問に答えるのが一般的なので、自分の研究についてわかりやすく熱をもって説明できると、臨床研究の必要性を倫理委員会側へアピールできます。

審査側のチェックポイントはここ

ここでは、倫理委員会側がチェックする項目をあげていきます。倫理委員会側が重要視するポイントを把握して、クリアできるように準備していきましょう。

  • 研究計画無理なく適切か
  • 倫理指針は守られているか、研究スタッフは倫理講習を受講しているか
  • 研究対象者の選定は適切か
  • 研究対象者の権利は守られているか
  • 個人情報の管理は適切か
  • 研究対象者の金銭的負担・有害事象の保証の有無
  • 侵襲はあるか
  • サンプルサイズは適切に設定されているか

研究計画書に関しては、計画書に漏れがなく記載できているかどうか、研究計画そのものが無理なくできて適正なものなのかどうかが吟味されます。

倫理指針の遵守に関しては、倫理指針に基づいて遵守する規定の確認を行います。そのうえで、研究計画書の記載ごとに倫理的に問題がないかどうかも審査されます。

研究対象者の選定方法に関しては、研究者と研究対象者の関係性が見られます。研究対象者は公募で集めるのが理想的ですが、実際は教員と学生、上司と部下、理学療法士と患者といった関係性も多いです。いずれにせよ、研究によって研究対象者に不利益が生じないこと、いつでも研究への同意や参加を撤回できることなどが保証されている必要があります。そのうえで、インフォームドコンセントが適切に行われているかも審査対象です。

個人情報に関しては、データの管理方法や匿名化の方法などが審査対象になります。

対象者の金銭的負担・有害事象の保証に関しても審査が入ります。研究対象者に出費はないのかどうか、研究対象者に謝礼金が渡されるのかどうかなどが見られます。また、有害事象が起こったときの保証についても審査が入ります。基本的には、保証がないと倫理委員会の審査を通ることは難しい場合がほとんどです。

侵襲の有無に関しては、研究対象者に負担がかかるかどうかが重要です。介入研究の場合、最終的には倫理委員会によって「侵襲あり」「軽微な侵襲」「侵襲なし」のどれかに該当されます。侵襲ありと判断された場合は、モニタリングや監査の必要性も出てくるので注意しておきましょう。

サンプルサイズに関しては、必要なn数が確保できなければ研究として成り立ちませんし、逆に多過ぎても倫理違反となる可能性があります。したがって、なぜこのサンプル数になったのかを明確に説明できなければなりません。

結果の通知

倫理委員会の結果は、研究機関の長宛に文書で届きます。そして、最終的に研究代表者のもとへ結果が通知されます。審査結果は承認・条件つき承認・不承認・継続審議・保留となります。承認された場合は、次のステップとして臨床試験登録を行います。また、条件つき承認の際には,審査コメントを参考にして研究計画書を修正し、再提出しましょう。

倫理委員会ってどこで受けれるの?

倫理委員会は、基本的には所属する病院や大学に設置されています。もし所属施設に倫理委員会がない場合は、日本理学療法士学会の倫理審査を受けられます。日本理学療法士学会の倫理審査を受けるための条件・準備・手続きなどは倫理審査申請・手続きの流れを参考にしてください。

Conclusion

倫理委員会の申請について解説してきました。これから倫理委員会に申請されるという方に必要なのは、研究計画書の仕上げ・倫理教育の受講・プレゼン練習です。とくに研究計画書に漏れがあると受付できない場合があるので気をつけましょう。

審査側のチェックポイントでも研究計画書をもとに審査していくので、大変重要です。多くの場合、倫理委員会は所属している病院や大学にあるかと思います。もし、倫理委員会がない場合は日本理学療法士学会でも審査を受け付けているのでぜひそちらも利用しましょう。

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