Introduction
統計をかける前にそもそもどの尺度がわからない
理学療法で用いる評価項目の尺度って?
本記事の内容
尺度の種類には何がある
理学療法で用いる指標の尺度
理学療法で用いる指標の尺度
がわかります。
尺度の種類には何がある。
尺度はその値が持つ意味合いから名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比率尺度の4段階に分類されます。
そしてこれらは数学的性質として、
- その値は、順位があるか
- その値は、等間隔であるか
- その値は、ゼロポイントがあるか
で考える事が出来ます。
名義尺度
割り振られた値に数学的特性を持たない尺度です。
例えば、
あなたの性別を教えてください。
①男性 ②女性
①男性 ②女性
この質問だと、男性=1、女性=2に割り振られます。
この場合だと、
- 順位:なし(性別に割り振られた値にどちらが上かという意味はない)
- 等間隔:なし(男性が二人いるからといって、1+1=2、女性が一人ということを意味しない)
- ゼロポイント:なし(0だからといって生物学的な性別が存在しないことを意味しない)
つまりこの値はただただ割り振られた値で、数字に意味はありません。別に男性=2、女性=1でも問題無いのです。
順序尺度
割り振られた値に順位が存在する尺度です。
例えば、
術後の満足度を教えてください。
① 大変不満 ② やや不満 ③普通 ④ やや満足 ⑤大変満足
① 大変不満 ② やや不満 ③普通 ④ やや満足 ⑤大変満足
この場合だと、1 → 2 → 3 → 4 → 5と数字が上がると良い結果を意味します。
この場合だと、
- 順位:あり(数字が高いほど良い結果)
- 等間隔:なし(大変不満とやや不満の間隔と普通とやや満足の間隔は同じでない)
- ゼロポイント:なし(0だからといって満足度が存在しないことを意味しない)
つまりこの値には順位(大小)だけが存在し、足したり引いたりといった計算は出来ません。
間隔尺度
割り振られた値に順位があり、値と値の間は等間隔である尺度です。
例えば、西暦などがこの尺度になります。
この場合だと、
- 順位:あり(数字が高いほど新しい・若い)
- 等間隔:あり(1185年と1192年の間隔、1988年と1995年の間隔は同じ7年)
- ゼロポイント:なし(0だからといって西暦が存在しないことを意味しない。中国3000年の歴史)
つまりこの値では順位(大小)に加え、等間隔であるため、足し算・引き算ができます。
比率尺度
割り振られた値に順位があり、等間隔で、決められたゼロポイントを持つ尺度です。身長・体重・距離・速度などです。
例えば、6m歩行時間がこれらにあたります。
場合だと、
- 順位:あり(数字が高いほど、遅い)
- 等間隔:あり(10秒と11秒の間隔、20秒と21秒の間隔は同じ1秒)
- ゼロポイント:あり(0は歩行時間が存在しないことを意味する)
つまりこの値は0から始まる測定値であり、足し算引き算に加えて掛け算割り算が出来ます。BMIはkg/m2で表され、歩行速度は距離/時間で現されます。臨床で用いる値はこの尺度が多いです。
統計ソフトによる尺度名の違い
SPSS:名義、順序、スケール(間隔尺度と比率尺度)
R(EZR):名義変数、順序変数、連続変数(間隔尺度と比率尺度)
に分けられるため、
ざっくりと
- 名義尺度:数字に意味はなく、ただただ割り振られた値
- 順序尺度:数字の大小のみに意味があり、四則演算はできない値
- スケール・連続変数:数値によって表される値
と覚えておいてください。
理学療法で用いる指標の尺度
理学療法で扱う変数の尺度を示しておきます。あくまでも例であって、自分の研究テーマによってどのような値を割り付けるかは少しづつ変わります。
例 | |
名義尺度 | 性別、身体部位、保険の種類 疾患名、人種 |
順序尺度 | 荷重状態(免荷、つま先接地、疼痛範囲内、全荷重) MMT、Brunnstrom Stage、HDS-R、MMSE FIM、介護度、Zancoliの分類 Borg Scale、重症度分類(軽症,中等症,重症)、患者満足度 |
間隔尺度 | 温度、暦年 |
比率尺度 | 年齢、呼吸数、SpO2、関節可動域、VAS 身長、体重、周計、血圧・脈拍 距離、時間、TUG、片脚立位保持時間 Physiological cost index (PCI)、Physical work capacity(PWC) |
Conclusion
理学療法に関連する指標の尺度分類を紹介しました。実際に統計処理をする際、データの分布とこの尺度で用いる統計手法が変化します。一覧表に加えて、判断基準も示しましたので迷った際は参考にしてみてください。
でも判断に困ったら先行文献を読んで、自分が扱いたい指標がどのように扱われているか見るのが1番早かったりします。
迷いながら考えて、先行文献で答え合わせをすると、素早く身につきます。
リハビリ関連の統計手法を体系的に学びたい人はリハノメというオンラインセミナーの対馬先生の講義がおすすめです。全12回でリハビリテーションに生かす統計学の基本を学べますよ。
>>リハノメの登録方法はこちらからどうぞ
コメント