臨床研究における変数|独立変数・従属変数とは?

統計

Introduction

「変数ってなに?」「変数ってどのように扱えばいいの?」このような疑問や悩みをお持ちではないでしょうか?

変数って聞くだけでなんだか難しそうな感じがしますし、なじみがなく理解しにくいですよね。しかし、定量的な研究では、どのような変数を用いるのかを明確にする必要があります。

当記事では、変数について詳しく解説していきます。この記事を読み終えるころには、変数について理解できていると思いますよ。ぜひ最後までご覧ください。

変数とは対象の属性を表すもの

変数(variable)とは、統計学で分析する対象の属性を表すもので、一般的に数値で表されることが多いです。

臨床研究は、何らかの疑問に応えるために行われます。診断のための検査や治療の効果に関する定量的な研究では、これらの検査・治療・効果が測定され、数値化されます。これらの値を一般的に変数というのです。

また、変数は定性的変数と定量的変数の2つに分類できます。

定性的変数とは、男女など性別のように異同だけに意味のある変数のことをいいます。一方で、定量的変数とは1つ、2つなどのように数えられる離散的変数(計数値)と、メジャーなど目盛りを細かくしていけばいくらでも数値が読みとれる連続変数(長さなど)のことです。

なお、その他にも独立変数・従属変数・剰余変数など、「○○変数」という言葉は臨床研究や統計学の中でもたくさん出てきます。

独立変数は結果に影響を与える因子のこと

独立変数(independent variable)は、説明変数(explanatory variable)とも呼ばれます。独立変数とは、結果に影響を与える因子のことをいいます。

わかりやすく例えるためにPICOまたはPECOを用いてみましょう。

結果に影響を与えると考えられる因子が独立変数なのですから、I(intervention)またはE(exposure)の部分が独立変数ということになります。

たとえば、筋力・可動域・脚の長さが歩行速度にどのような影響を及ぼしているのかどうかを明らかにしたいとき、この筋力・可動域・脚の長さが歩行速度に対する独立変数ということです。

従属変数は結果そのものや影響を受ける因子のこと

従属変数(object variable)は、説明変数(dependent variable)とも呼ばれます。従属変数とは、結果そのものや影響を受ける因子のことをいいます。

わかりやすく例えるために、ここでもPICOまたはPECOを用いてみましょう。結果そのものや影響を受けると考えられる因子が従属変数なのですから、O(outcome)の部分が従属変数ということになります。

筋力・可動域・脚の長さが歩行速度にどのような影響を及ぼしているのかどうかを明らかにしたいとき、この歩行速度が筋力・可動域・脚の長さに対する従属変数ということになります。

剰余変数は独立変数以外に従属変数に影響を与える因子のこと

剰余変数(Residual variable)とは、独立変数以外に従属変数に影響を与える因子のことをいいます。臨床研究で得られた結果には、介入の有無や曝露因子以外にも、実はたくさんの影響が潜んでおり、それを剰余変数というのです。

たとえば、筋力・可動域・脚の長さが歩行速度にどのような影響を及ぼしているのかどうかを明らかにしたいとき、研究対象者のスポーツ歴や運動習慣、実験場面でのモチベーションなどが剰余変数としてあげられます。

剰余変数は、臨床研究で因果関係を明らかにしたいときの邪魔になります。ですので、定量的な臨床研究を行ううえでは、剰余変数をできるだけ把握し、剰余変数を統制して実験を行う必要があります。

独立変数と従属変数の具体例

ここでは過去の研究での経験を例にあげたいと思います。

私はある企業が開発した坂道シューズ(前足部が補高されており、坂道を登るような歩行感覚が得られる靴)の効果を検証する研究を行なっていました。アウトカムはエネルギー消費量と下肢筋電図です。

PICOに当てはめて説明すると、

P:健常な男子大学生に
I:坂道シューズと
C:通常シューズを履いて歩いてもらったときに
O:エネルギー消費量や下肢筋電図はどう変化するのか

といった研究疑問になります。方法としては、トレッドミル上で数分間歩いてもらってデータを取りました。研究デザインとしてはクロスオーバー比較試験です。

この研究を例にあげると、独立変数は「坂道シューズを履いているかいないか」であり、従属変数は「歩行時のエネルギー消費量(kcal)や下肢筋電図(%MVC)の変化」です。また、剰余変数については「研究対象者のスポーツ歴・運動習慣・食生活・筋肉量・実験場面でのモチベーションなど」が考えられます。

Conclusion

臨床研究における変数について解説していきました。変数には定性的変数と定量的変数の2つがあり、一般的には検査・治療・効果が測定されて数値化されたものを指します。

また、変数には独立変数・従属変数・剰余変数があり、定量的な臨床研究ではそれらを把握することが必要です。変数を明確にすることではじめて定量的な臨床研究ができるので、今回学んだことを活かして研究を進めていきましょう。

 

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